第20章古い傷

グレイスは冷ややかに笑った。「全部、もう過去のことよ。ウィリアムはかつて大きな野心を抱いた輝かしい星だった。でも怪我をしてから、私は彼を捨てたの。――もう分かった?」

ヴィクトリアはようやく腑に落ちた。つまりウィリアムが下半身不随になったあと、グレイスは彼を見限ったのだ。

ヴィクトリアは口の端をつり上げた。「ずいぶん非情ね。スターリング家の後継ぎを捨てるなんて。そんな度胸があるとは思わなかったわ!」

グレイスの瞳に後悔の色は一片もない。あるのは、世界そのものへの怨嗟だけだった。

彼女はあらゆることを綿密に計算してきたが、トーマス家があれほど急速に没落するとは夢にも思わなかったのだ。もし...

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